こんにちは。
今回インタビューをするのはCEO・塚本大地です。
大学4年生のときにCOO・渡辺とDUOを共同創業した塚本。アミューズメント事業では、YouTubeチャンネル『スロパチステーション』の登録者数を業界No.1へと拡大させ、VR事業では、『ミライアカリ』を“バーチャルYouTuber四天王”と言われる地位にまで押し上げました。
今回は塚本に、共同創業者のCOO・渡辺への思いと、事業を次々と成功させていく秘訣、将来のビジョンについて伺いました。
現COO・渡辺と共同創業した株式会社ZIZAI。創業までの経緯を教えてください。
ー共同創業者の渡辺は、僕を「天才だ」と思った。僕は彼を「凡人」だと思った。
共同創業者である渡辺は名古屋大学の同級生です。彼とは大学1年生の時に出会いました。
渡辺は僕と会った時に「塚本は天才だ」と思ってくれたらしいんですけど、僕が渡辺を初めて見た印象は「普通だな」と。これといった大きな特徴もなかったので(笑)。でも渡辺とよく一緒にいるようになって、「コイツ、本当に器が大きいな」と感じました。普通の人なら嫌がること、鬱陶しいと思われるような頼まれごとを、渡辺は当たり前のようにやってくれるんです。授業やテスト直前のコミュニケーションの中で、アイツの器の大きさを感じて、すごく信頼していました。
そして、軽い気持ちで在学中にWebビジネスを始めたんです。「ブログで記事書くと儲かるらしいぞ!」って(笑)。そのとき、自然と渡辺と一緒にやることになってましたね。最初のころは、FC2ブログの貸しドメインでブログ作って記事を書いて、それに広告を貼って収益をあげていました。僕が記事のコンテンツを考えて、渡辺がサイト運営やHTMLタグの貼り付けをやってくれて。この時から「アイデアを出すのが僕」「それをシステム化して実行するのが渡辺」と、今と同じような関係性ができていました。
そしてブログで収益が出るようになった流れから、大学4年生の9月に株式会社DUO(現ZIZAI)を立ち上げました。でも「起業して世界を変えてやる!」という熱意があったわけではありません。就職活動、大手企業の推薦枠、大学院入試……それらの選択肢もあったのですが、時間が経つにつれて目の前から消えていきました。唯一、一番情熱を注げると思った選択肢が「起業」だったんです。ある意味で消去法ですね(笑)
事業が軌道に乗った!と思ったターニングポイントはありましたか?
ー日本一のパチスロ系YouTubeチャンネルを買収したこと。
実は2015年9月に起業してからの半年間、本当に鳴かず飛ばずでした。会社は潰れる寸前で。当時はパチンコ事業を成功させるためにアプリを作ったり、YouTubeを始めたりしました。しかし、何をしてもダメで。起業時に融資してもらった1000万円もすぐに溶けました。
「これは本当にヤバイ!」と。追い込まれて考え続けた結果出た答えは、既存のコンテンツを買収することでした。コンテンツさえあれば、グロースさせられる自信が僕にはあったので。
そこで色んなサイトやメディア運営社にアプローチして返信があったのが、DMMが買収を持ちかけるほど力を持ったパチスロ系YouTubeチャンネルでした。実はその運営者の方は、僕のメールにだけ反応を示してくれたそうです。「君たちのメールには、他のメールにはない何かを感じた」と後に言ってくださりました。
ただその人と連絡はついたものの、最初は全く信頼してもらえなくて。とにかく毎日Skypeをして、僕の今までの生い立ちを話したり、ビジョンを訴え続けたりしました。
そして最後に、「お前は天才かもしれない。このチャンネルをあげるよ」と買収を承諾してくれたんです。それが2016年の3月のこと。それから『スロパチステーション』とチャンネル名を変え、配信コンテンツを変えました。現在ではチャンネル登録者数が日本一のパチスロ系YouTubeチャンネルになっています。
僕は人を巻き込む力に関しては絶対的な自信があります。たまに「人を口説く時に考えていることは?」と聞かれますが、「誠実に、思いを全力で伝えること」、これだけを考えています。
僕が生きてきた25年間の歴史上、このやり方で間違ったことはほとんどなくて。最初は上手くいかなくても、長期的にみれば成功にまで持っていく力があります。ZIZAIの事業においても、それを永遠とやり続けるのみです。
現在塚本さんが注力していることを教えてください。
ー長期的な視点でみた採用。コンビニの店員、タクシーの運転手、会った人全員を採用するつもりでいる。
既存事業に加えて、僕が注力していることは2つあります。それは「長期的な視点でみた採用」と「社外の人に会うこと」。
まずは長期的な視点でみた採用について。「長期的な視点でみた採用」とは、会った人全員を採用する意識で行動することです。例えば、コンビニで会った店員さん、タクシーの運転手さん、日常で会う全ての人に対して「この人と将来一緒に仕事をするかもしれない」という熱意を持って話すんです。そうすれば長期的に見た時に「ZIZAIで働きたい」という声を高められると思います。
そして社外の人に会うことについて。これは、僕自身が成長するためです。会社の成長は僕の成長に比例します。それ以上もそれ以下もない。だから自分の良いところと悪いところを認識した上で、尊敬する社外の方々とお会いする時間を取っています。
尊敬する起業家の1人に、クラシル代表の堀江さんがいます。彼は「自分を強く突き動かす目標を掲げて、皆が自分を担ぎたくなる気持ちにさせて、目標を達成する力」が尋常でなく高い。僕にはまだ持ち合わせていない力です。
自分にはない魅力的な力を持った人と会い、彼らの良いところを真似ようと考えたり、違うアプローチを考えたり。それを無限に繰り返していくことで、自分が成長し、会社も成長していくのだと思います。
事業をグロースさせるために大切なことは何ですか?
ー“最初の一滴目”を濃くすること。新規事業を成功させるポイントは“6つの質問”に答えられるようにすること。
事業を拡大する、細かいシステムを作れる優秀なメンバーはたくさんいます。そんな優秀なメンバーがいる中で僕がやるべきなのは、事業の大元になる「最初の一滴目」を間違えないことです。この垂らす一滴が間違っていたら、間違った色になってしまいます。
間違った色の状態でスタートしてしまうと、どれだけ良い人を採用して、事業モデルを変えようとしても、もう軌道修正ができないんです。だからこそ、新規事業を始める前は検証に検証を重ねるんです。
しかしこの検証とは、数値的に細かく分析するということではありません。事業の拡大は、「アイデアを思いつく→お金と人を集める→プロダクトを作る→プロダクトを流行らせる→マネタイズする→競合と戦う→事業が拡大する過程で起こりうる組織課題を解決する」といったフローを踏みますが、その中の各フローに対する以下の「6つの質問」に答えられるかが大切なポイントだと思っています。
1. お金と人を集められるか?
2. プロダクトをつくれるか?
3. プロダクトを流行らせられるか?
4. マネタイズできるか?
5. 競合と戦えるか?
6. 事業が拡大する仮定で起こり得る組織課題を解決できるか?
全部の問いに答えられれば、事業成功の可能性は高いでしょう。
ちなみに、最初からここまで方法論が確立していたわけではありません。それでもZIZAIが急成長を遂げられたのは、これらの問いに無意識レベルで答えていたからだと思います。だからパチンコ事業も、ミライアカリプロジェクトも、急発展していきました。
ただ、この方法論だけではまだまだレベルが低いことも自覚しています。僕は今、同じレベルの場所にステイしていることが辛いんです。早く最前線を走る経営者に追いつきたい。自分自身を成長させ続けて、会社を引っ張れる存在でありたいです。
塚本さんの将来の目標を教えてください。
ー「具体的な目標はない。」想像もできないインパクトを社会に与える。
実は、将来の具体的な目標はないんですよ……。本当は社長として、具体的なビジョンを答えられた方が良いんでしょうけどね(笑)。
ただ、ZIZAIを続けた先には、「今では想像もできないインパクトを社会に与える」、そんなプロダクトをつくりたいですね。「バーチャルYouTuber事業で世界を変える」「世界中の人の幸福度をあげる」等、具体的なビジョンは設定していません。
それに、今の僕が観測できる範囲は狭すぎると思っています。日々、僕が変化し続けているので、今あえて具体的に定める必要もないのではないかなと。「今では想像もできないインパクトを社会に与える」ために、自分自身とプロダクトを成長させ続けたいと思います。
ビジョンを実現するためには何が必要ですか?
ー非連続的な成長を重ねること。最高の人材に入ってきてもらうこと。
「今では想像もできないインパクトを社会に与える」、これを実現するために、会社が「非連続的な成長」を重ねていくことが大切だと思っています。
これは何かというと、「1→2」へと小さいステップを重ねていくのではなく、「1→10」へと外から見たら理解できない速度で成長することです。そしてこの非連続的な成長を、「1→10→100」と、何度も繰り返していくことが大事です。
そしてこの非連続的な成長を実現するためには、最高の人材に入ってきてもらう必要があります。良い人材からしか、良いプロダクトは生まれません。
僕が考える良い人材とは、素直で良い人、嘘をつかない人です。良い人は多くの人に好かれるので、人を巻き込む力があります。そしてそんな人は、仕事面でも優秀な場合が多い。だからDUOはリファラル採用が多いですし、ハレーションも起こらずに会社も成長を続けられています。それは、良い人が良い人を呼んでいるからだと思います。
そのスパイラルを加速させてくれる人、ZIZAIの文化濃度を濃くしてくれる人、そんな人たちとぜひ一緒に働きたいです。